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2018年05月22日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、相続診断士・経営者保険プランナーの小林です。
先日、A社の社長からご相談を受けました。
先代のときから分散している自社株を集約したいとのことでした。
というのも、退職後も自社株を保有し続けたままになっている株主がおり、
株主総会の招集通知を出しているとのことでした。
現状では経営に対して口出しをしてくることは無いものの、
社外株主に議決権が分散していることへのリスクを感じているようでした。
また、B社では、従業員のモチベーションアップになればと考え
個々の社員に自社株を持たせ、剰余金に応じた配当を支給していました。
株主の中には高齢の方もおり、相続が発生すれば、
会社に関係のない株主遺族に自社株が分散してしまうリスクがありました。
しかし、配当を楽しみにしている株主もいるため、集約をすることは容易ではないとのことでした。
そこで、今回は種類株式を活用した議決権の集約方法をお伝え致します。
種類株式とは株式会社が普通株式とは別に発行する
「株主の権利内容が異なる株式」のことをいいます。
種類株式には9種類あります。
このうち自社株が分散している時の対策としてよく使われる、
"完全無議決権株式"、"取得条項付種類株式"、"譲渡制限種類株式"について解説していきます。
完全無議決権株式・・・株主総会においてまったく議決権がない種類株式です。
平成17年以前は全体の50%までに規制されていましたが、
非上場会社に限ってこの規定は撤廃されました。
先程のA社の場合、社外株主が所有している株を完全無議決権株式にすることで、
議決権はきちんと社長に集約させておくことができます。
譲渡制限付種類株式・・・株式を譲渡する際に会社の承認を要する株式です。
これにより、株主の意思だけでは自由に譲渡することができないため、
予期せぬ人物が株主になることや、さらなる分散を防ぐことができます。
取得条項付種類株式・・・会社が株主に対して、一定の事由が生じたときに
株式を強制的に取得することができる株式です。
普通株式を会社が買取る場合は、当該株主の同意及び買取価額の合意が必要ですが、
取得条項付株式は会社の意思のみで買い取ることができるため、
少数株主への対応がしやすくなります。
また、種類株式は内容の異なる2種以上を組み合わせることも可能です。
例えば、社員が個々に自社株を保有しているB社の場合、
完全無議決権株式によって議決権を行使しない代わりに、
普通株式に比べて高い配当金を享受できる配当優先株式を組み合わせるなどです。
今現在、普通株式のみを発行している会社であっても、
定款変更をすることで発行済の株式を種類株式に変更することは可能です。
ただし、株主に利害が発生する可能性があるため、全株主からの同意が必要となります。
相続はいつ起きるか分かりませんので、
少数株式など自社株が分散している場合には株式の内容変更を検討し、
経営権を確保しておくことをお勧めします。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。