低コストで株を買い取りたい CASE 04

敵対株主から突然の連絡

「1億円で株を売りたい」。それは突然の電話だった。2人の叔父が連絡してきたのだ。
樋口社長(仮名51歳)が経営する卸売会社は、先々代にあたる祖父が起業した会社である。
孫に優しい祖父で、その優しさは社員たちへの接し方も同様。社内での人望が厚かったと聞く。

経営が軌道に乗り会社が大きくなると、長男である樋口社長の父親に株の80%を譲って後継者にすえた。
同時に、自分の弟2人にもそれぞれ10%ずつ株を渡した。優しい祖父としては、自分が育てた会社の資産を親族に分け与えることで、「みんなに幸せになってもらおう」と考えたのだろう。

しかし、祖父が亡くなると、樋口社長の父親と2人の叔父の関係はすぐに険悪になった。
そして父親の引退とともに樋口社長が経営を引き継ぐと、自分たちの子どもの世代だから軽くみているのか、経営のことはよくわからないくせに、なにかと口を挟んでくる。
8割の株はこちらにあるため議決権は確保しているのだが、それでもやはり気分のいいものではない。

そこで、これまでなんども「叔父さんたちの株を買い取りますよ」と持ちかけたのだが、首を縦に振ることは一度もなかった。
配当は出していないが、会社の業績はよく、資産も大きい。叔父たちとしては「会社が大きくなればなるほど自分たちの財産も増える、だから経営に口をはさんでやろう」。そのような感覚だったに違いない。

それが急に「株を買い取ってほしい」と言い出したのは、叔父たちの家族、つまり叔母や従兄弟たちが相続のことを気にしはじめたからだった。叔父2人はともに80歳代。いつなにがあってもおかしくはない。
そのとき、株の相続税を支払うのは、叔母や従兄弟たちなのだ。
「いつまでも持っていないで、さっさと現金化しなさい」。叔母たちの強い言葉が、かたくなだった叔父たちを動かしたのだ。

樋口社長にとっては、まさに渡りに舟。しかしひとつ問題があった。株を買い取る価額である。
2人の持ち株を合わせると発行株数の約20%。これを1億円で買う。
この金額は、相続税評価額の半額ほど。実勢価額はさらに高く、数億円になるはずだ。それにもかかわらず「1億円で」と持ちかけてくる背景には、「一刻も早く現金化したい」という叔母たちの思惑があったのかもしれない。

一見、非常に得な話に思える。だが、税務上、「本来の価値に相当する対価を支払っていない」ことになり、本来の価値と購人金額との差額分は贈与とみなされ、高額の贈与税がかかるのだ。といって、本来の価値で購入するならもっと多くのコストがかかる。

低コストで株を買い取りたい

従業員と社長が共同で株を購入

悩んだすえに樋口社長はつてをたどり、コンサルタントのもとを訪れた。
そこで受けたアドバイスは「ポイントは2つあります。第一に、叔父たちが希望する金額を、つまり1億円を手にできるようにすること。そして第2は、樋口社長に贈与税がかかるのを回避することです」というものだった。

この2つを両立させるカギ。それは従業員持ち株会の設立にあるという。
新設される従業員持ち株会と樋口社長個人とが共同で、叔父たちの持ち株を購入する。
従業員持ち株会は配当還元方式による低い価額で株を買い取ることができる。そして樋口社長は、本来の価額で株を買い取る。両者の購入金額の合計が1億円になるように、買い取る株の割合を調整するのだ。

「なるほど、こんなことができるのか」。樋口社長は目からうろこが落ちるような気持ちだった。
結果、叔父たちは希望通りの1億円を手にできた。樋口社長は本来の価額で株を買い取っているので贈与税を支払う必要はない。
従業員持ち株会の株は種類株を活用したことで、樋口社長が念願していた「自分が会社の議決権の100%を握る」ことが実現した。


従業員を納得させる秘策

もっとも、従業員持ち株会の設立にあたってひとつだけ問題も発生した。社員が株を持つことにあまり興味を示さず、「持ち株会をつくろう」との呼びかけに消極的な反応しか示さなかったのだ。
従業員の多くは子育て世代であり、自社株を買うほどの余裕は持ち合わせていなかったからだ。

コンサルタントは、その解決策も提示してくれた。三十数名の従業員に特別賞与ということで株の買い取り資金を提供するのである。
会社がお金を出してくれて、自社株を持つことができ、毎年配当がもらえる。辞める時には買い取ってもらえる。
これならば従業員たちに異存はない。

経営に対して叔父たちからあれこれ言われなくなったいま、樋口社長は不思議と祖父のことを思い出すようになった。
従業員からも親族からも慕われていた祖父。では、自分は、みんなにどのように思われているのだろう。
従業員のためにできることは、もっとないのだろうか。親族に関する悩みから解放され、樋口社長の頭のなかは、会社経営に直結する前向きなプランだけで占められていた。

低コストで株を買い取りたい

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