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『「最後の仕事」その1』ヒューマンネットワーク・メールマガジン(通号283号)

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018/04/04号 ━━━

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 ■□■経営に役立つ書籍から■□■


 『相続の6つの物語』本郷 尚 著 
 日本経済新聞出版社刊(全国書店で販売中)より転載しています。
 https://www.amazon.jp/dp/B01KA008TC/

 ※弊社提携先、株式会社タクトコンサルティング会長で税理士の
 本郷 尚先生のご厚意により、著作を掲載いたします。
 長い物語ですので、数回に分けてお届けします。
 保存しながらお読みくださいますと幸いです。


 「最後の仕事」その1

 都心や都心周辺、幹線道路沿いに延々と立ち並ぶ中小ビル。
 そのひとつひとつにオーナー一族の歴史と物語があり、
 争いの火種がある。
 
 戦後まもなく創設されたファミリー企業の多くが、
 地価が右肩上がりの時代に本業の利益を不動産に変えた。
 
 創業社長から二代目に引き継がれる過程で、
 土地活用や相続対策、
 事業承継を目的として不動産賃貸業を兼業。
 いつの間にか本業より不動産賃貸業がメインとなり、
 会社の実体は不動産所有会社になっていく。
 
 東京であれ、地方都市であれ、
 こうしたケースは枚挙に暇がない。
 それらのビルが今、
 オーナーと建物のダブル高齢化に晒されている。
 
 会社の内部事情も複雑だ。
 相続を繰り返すうちに株主が増えて所有関係も複雑化し、
 八方ふさがりの状態に陥っている。
 
 そうした問題を抱えつつも、
 ふたりの消極的な理由から中小ビルは生き残ってきた。
 ひとつは税制上有利であったこと。
 もう一つは株主が増えて複雑化し、
 意思決定できないという事情である。
 
 第一の理由である「税制上の有利性」とは・・・。
 会社で土地や建物を所有しているため、
 株主であるオーナーの相続税の負担は軽くて済む。
 
 株式が分散されていれば、
 ひとりひとりの持ち分にかかる負担はさらに少なくなる。
 さらに固定資産税の負担も会社の経費になる。
 
 第二の理由である「意思決定のしにくさ」とは前述した通りだ。
 相続を重ねるたびに株主は増えていく。
 さらに意思決定には一族の歴史、
 価値観、ここの思惑、家族関係が複雑に絡み合い、
 単純な損得や理論では割り切れない。
 
 いつか誰かが皆をまとめ、
 決断を下さなければならないことはわかっていても、
 それができる人物とタイミングが揃わない限り、
 問題は先送りされていく。
 これは、そうした渦中にある一族の物語だ。
 
 
 東京都中央区。
 大通りから一本入ったところに築30年の斉藤ビルがある。
 このビルを所有する株斉藤不動産は、
 二棟の賃貸ビルとマンション、
 駐車場を保有する資産管理会社である。
 代表取締役は、斉藤一族のゴッドマザーと呼ばれる斉藤琴音だ。
 
 同社は、琴音の夫、斉藤憲作が戦後間もなく合資会社から株式会社に変更し、
 株式の100%を保有していた。
 十数年前に憲作が亡くなると、
 会社の株式は妻の琴音と三人の息子たちに四等分された。
 生前、憲作は息子たちが大学を卒業すると同時に会社の役員にし、
 わずかだが役員報酬を与えていた。
 
 まだまだ世の中には長男家督相続の風習が残っていたが、
 進歩的な憲作は「兄弟皆平等」を掲げ、
 教育にせよ、相続にせよ、平等を貫いた。
 遺言状の付言にも「兄弟は平等を旨とし、仲良く会社を守るべし」と記した。
 
 憲作が亡くなったとき、琴音は60歳だった。
 長男の和夫は大学の准教授、
 次男の憲司は外科医、三男の武は研究者として、
 それぞれの道を歩んでいた。
 
 そんなわけで、必然的に琴音が会社を切り回すことになった。
 ずっと夫を助けて会社の経理や総務を一手に仕切ってきたのだから、
 当然の流れだった。
 
 代表取締役に就くと、
 息子たちの役員報酬を10万円から50万円に引き上げた。
 役員会は月一回開催され、
 息子たち三人は必ず出席していた。
 経営報告はされていたが、形式的であり、
 息子たちは会社の経営に一切口を出すことはしなかった。
 
 全てが琴音の意思で決まるワンマン経営に対して、
 長男以外の兄弟は感謝こそすれ、不満はない。
 株主総会も同様であった。
 
 「母さんに任せておけば安心だ。」
 「何もせずに役員報酬をもらえるなんてありがたいことだよ」
 母が会社経営を続けてくれたおかげで、
 経済的な心配もなく好きな道に進めたのだから、
 当然といえば当然だろう。
 
 琴音自身もやり甲斐を感じている。
 最初は会社を継続させるために仕方なく就いた社長の座だったが、
 すぐに賃貸経営のコツをつかんだ。
 明るく面倒見のいい琴音は、五人の社員からも信頼されていた。
 ただ、不動産業界との付き合いや取引先との交渉事には苦労もあった。
 
 当時、女性社長は大変珍しく、
 同業他社やテナント企業、
 管理会社の中にも女性を蔑視する人たちがいたからだ。
 
 しかし、しばらくするとその過ちに気づいた。
 物腰は柔らかいが芯が強く、
 決断力と実行力は男顔負けだったからだ。

                   その2へ続く


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 著者 本郷 尚(ほんごう たかし)氏
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 税理士。株式会社タクトコンサルティング会長。
 不動産活用、相続、贈与、譲渡など資産税に特化した
 コンサルティングを展開。
 また、著書やセミナー等のあらゆる機会を通じて、
 相続対策の新しい考え方の普及にも力を入れている。

 昭和48年税理士登録。
 昭和50年本郷会計事務所開業。
 昭和58年株式会社タクトコンサルティング設立。
 平成15年税理士法人タクトコンサルティング設立。
 平成24年株式会社タクトコンサルティング会長に就任。

 「こころの相続」、「がんばれ大家さん」、
 「不動産M&A入門」他、著書多数。


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 発行:ヒューマンネットワークグループ 
    ヒューマンネットワーク株式会社
    税理士法人東京会計パートナーズ
    株式会社東京会計パートナーズ
    https://www.humannetwork.jp/


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